新年度を迎え、当院健診部では「人間ドックオプションキャンペーン」を実施しています。是非、詳細についてホームページをご覧ください。
さて、診察の際に、「どのオプション検査を受けるのがよいですか」というご質問を受けることがあります。ご提案する検査は、性別・年齢・基礎疾患によって様々ですが、一度は必ずおすすめする検査があります。
それは「ピロリ抗体検査」もしくは「ABC検診」です。
ピロリ抗体検査とは、ピロリ菌に感染したときにできる抗体を血液で調べる検査です。ABC検診は、ピロリ抗体検査に、粘膜の萎縮度をみるペプシノゲン検査を加え、現在から将来的にいたるまでの胃がんリスクを評価する検査です。
ピロリ菌は胃粘膜に感染すると、粘膜を傷つけ慢性胃炎を起こし、胃・十二指腸潰瘍、胃がんの原因となります。なんと胃がんの98~99%がピロリ菌感染によると考えられています。
ピロリ菌の歴史は比較的浅く、発見は1979年。このピロリ菌の発見により、胃がんや再発を繰り返す胃・十二指腸潰瘍に「除菌治療」という革命がもたらされるのです。
胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプインヒビター)の進歩と除菌治療の普及により、胃潰瘍の総患者数は1996年の91万人/年をピークとし、2002年には64万9000人、2014年には27万2000人、2020年にはなんと1.4万人まで減少しています。
ピロリ菌に感染している人は、感染していない人の約5倍胃がんのリスクがあります。しかし除菌治療によりその危険性は3分の1程度にまで下がると考えられています。
また、年齢が若いほど、胃粘膜の萎縮の程度が軽いうちに除菌するほど、胃がんの予防効果が高いこともわかっています。
ピロリ抗体検査は、胃バリウム検査で慢性胃炎を指摘されたことのある方には勿論、胃がん検診を受ける機会のない20-30代の方にも、是非一度受けていただきたいなと思っているオプション検査です。
今年度も、スタッフ一同皆様の受診を心よりお待ちしております。
健診部 吉岡千晶
参考
日本ヘリコバクター学会HP
厚生労働省 傷病別年次推移表